そして、泣いた。
ロシア語通訳の米原万里氏が1960年代にプラハのソビエト学校で同級生だった3人の友達を30年後に訪ねる話だ。3人の級友はそれぞれギリシア、ルーマニア、そしてユーゴスラビアから来ていた。小説全体は3部構成だ。
〇 リッツァの夢見た青空
〇 嘘つきアーニャの真っ赤な真実
〇 白い都のヤスミンカ
ちょうど青、赤、白となっている。なんだかフランス国旗みたいだが、フランスにはほとんど触れられていない。
リッツァ、アーニャ、ヤスミンカと順に聴いていくにつれて、どんどん話が深刻になっていく。何しろユーゴスラビアは国自体が分裂して内戦をしていたのだから、1990年代のヤスミンカは生きているのかどうかすら分からない状態だ。
面白いのは、小学生時代の友達を述べた後に30年後の状況を語っているところだ。小学生といっても、それぞれが親の都合で母国から遠いプラハにやってきてロシア語の授業を受けているわけだから、嫌でも民族とは何か、宗教とは何かということを突きつけられる。
僕も在米時代、日本人としてのアイデンティティーについて、民族やら宗教やら言葉やら、色々な方面から考えさせられた。考えるという生易しいものではなく、現実に直面させられ続けた。異国で暮らしていれば、大人だけでなく子供でも同じ状況におかれる。
その意味では「白い都のヤスミンカ」が最も心に刺さった。もし読むなり聴くなりする機会があれば、是非ヤスミンカの話までいって欲しい。
結論:真っ赤な真実より、白い都
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