2017年7月27日木曜日

【★ 「かくて行動経済学は生まれり」を読んだ】

かくて行動経済学は生まれり(文藝春秋)」は、「マネー・ボール」や「世紀の空売り」で有名なマイケル・ルイスの著書。今回は行動経済学なるものに注目した。

簡単にいえば「何故、人は合理的に行動しないのか?」ということ。これまでの経済学では、人は合理的に行動するもんだ、ということが前提になっていた。でも、実際は宝くじを買う人やギャンブルにはまる人は後を絶たない。期待値を考えれば、両方とも損するに決まっている。

で、心理学者であるダニエル・カーネマンとその共同研究者、エイモス・トヴェルスキーは人の行動の非合理性に着目し、プロスペクト理論を提唱した。

彼らによれば、人の意思決定にはバイアス(思い込み)やヒューリスティック(早とちり)が大きな影響を与えており、それが非合理的な行動に走らせるとのこと。

これは仕事中に良く感じる。専門家はリスク・ベネフィットを正確に理解し、それに従って行動しているが、素人は無茶苦茶だ。

この研究によってカーネマンは2002年のノーベル経済学賞をとった。心理学者の受賞は初めてだ。残念ながらトヴェルスキーの方は1996年に59歳でこの世を去った。生きていれば当然のことながら一緒に受賞していたであろう。

この本は行動経済学の黎明を述べる以上に、カーネマンとトヴェルスキーの共同研究者としての親密な人間関係に触れている。彼らの研究は毎日数時間にも及ぶ濃厚な議論によるものであり、その業績に対する貢献度は同等であった。論文の筆頭著者はコイントスで決めたのだとか。

キンドルでも1800円する分量なので簡単に読み終えることはできない。しかし、何度でも読み返し深く理解すべき本だと思う。

結論:人間は合理的な行動をしない。








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