「戦わずして中国に勝つ方法」の著者の矢板明夫氏は昨日紹介した福島香織氏に続いて産経新聞記者。ただし、この人は現役の北京駐在員。こんなに言いたい放題書いて大丈夫か? ちょっと心配になる。
矢板氏の履歴はちょっと変わっている。
1972年に中国の天津市に生まれ、1988年に残留孤児2世として日本に引き揚げた。2002年から産経新聞社記者となり、2007年から北京特派員となっている。中国語に不自由はないのだろう。
さて、本の中味を紹介する。
1949年に建国した新・中国は当初、合計23ヵ所の領土問題を抱えていたそうだ。そのうち、すでに17ヵ所が解決している。解決したのは1960年代と1990年代で、領土問題を解決する文書に調印したそうだ。いずれも中国が相手国に大きく譲歩しているとか。1960年代の中国はソ連と対立し、社会主義陣営のほとんどの国がソ連側についたので国際的に孤立し、周辺国に領土を譲ることで仲間を増やそうとしたもの。1990年代には天安門事件での弾圧で国際社会が揃って中国に制裁を実施して四面楚歌の状況に陥ってしまった。そこで再び領土カードで譲歩し、事態の打開を図った。情けないことに当時の日本は最初に中国に対して経済制裁を解除し、その時に海部俊樹総理大臣は何の条件もつけなかった。あのときに尖閣諸島の問題を持ち出して譲歩を迫っていれば中国は応じていた可能性もあった。惜しいことをしたものだ! 次のチャンスは数年または十数年以内に訪れる。だから日本はじっと待て、と著者は説く。
尖閣諸島の問題をこんな風に考えたことはなかった。僕にとっては新しい視点だ。なんにせよ多くの方向から物事を見ることは大切だ。
結論:戦わずして中国に勝とう!
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